↑説明時に私が書いたイラストです。才能のかけらも感じませんね。(;;)ウッ…
60代の男性が、ある方の紹介を受けて当院へ来院されました。今年の3月から腰痛(違和感程度)を感じていましたが、医療機関へは行かず、4月に草刈りをしていてさらに悪化したそうです。しかしそれでも医療機関へは行っていなかったとのことでした。
5月の連休明けに車に乗る機会が増え、車から降りるときに左足に力が入らないという症状が出てきました。地元の整形外科に2回ほど通院し、大きめの病院を受診したそうです。診断結果は、脊柱管狭窄症からくる根性坐骨神経痛とのことでした。
当院へ来院されたときは、イスから立ち上がる際の左臀部から左大腿、左下腿外側への疼痛が主訴でした。徒手検査を進めると拇趾と足関節の背屈力が低下しています。下腿周径を計測してみると患側肢のほうが1.5センチ細くなっていました。筋力低下がありますが、すでに医師の診察を受けておられるので、施術を継続させていただきました。
じゅこうさんは健康保険を使用しないので、医療機関での診察を受けながら、当院での施術を受けていただいても大丈夫ですし、逆にお勧めしています。
SLR(左+)70度で左腰部に疼痛出現します。(SLRテストについては前回のブログを参考にしてください)ただし、私独自の検査方法ですが、腰椎の前弯を徒手で維持したままであれば、S LRは陽性とならないことが分かりました。体幹筋の低下によって体幹が不安定になって脊椎の間で炎症が起こり、坐骨神経の根元に影響を与えていることが考えられました。
2回目の来院時には、主訴である痛みは10→5程度に改善していました。ご本人の判断で、痛み止めの服用を中止されたところ、痛みの増強は無く経過は順調のようです。痛みの質も鋭い痛みから筋肉痛のような鈍い痛みに代わり、痛む場所も左臀部から下腿部に移動している傾向がありました。坐骨神経痛の治り方は鋭い痛み→鈍い痛み・しびれへ変化し、痛みの部位も体幹→下肢末梢部へ移動するという特徴を私は感じています。
2回目の施術を終えた後に、これから痛みと筋力低下は徐々に改善される予測を伝え、施術を終了しました。ただ、少し時間をおいてカルテを見直していたところ、筋力低下が続いていることに違和感がありました。考えてみると運動神経のほうが太く、髄鞘というカバーがあるので神経障害の改善は有髄神経(運動神経、鋭い痛覚神経)から治る傾向があります。最後に残るのがしびれや鈍い痛みを感じる無髄神経線維(鈍い痛覚神経)です。
向う脛を打撲した際に鋭い痛みを最初に感じ、鈍い痛みを後から感じます。有髄神経のほうが、神経伝達スピードが速いためにそのようなことが起こります。
今回の患者様の治り方は、鋭い痛みは治っているのですが、それより早く改善するはずの運動神経が回復せず、筋力低下したままです。下腿周径が細くなっているので、最近起こったことではなさそうですが、腰部の神経圧迫が筋力低下の全ての原因とも言えないように思えました。そのように症状の変化が一般的でない時には、経過の観察が必要で必要であれば医療連携したいと考えております。
痛みのレベルが下がったので、私も安易に「来院の必要は無いですよ」と言ってしまったのですが、無責任なことだったと反省しています。今は便利な世の中で、携帯電話でメッセージが送れますので、時間のある時にコーヒーでも飲みに立ち寄ってくださいと連絡を入れました。
ご本人の返信には、日常生活は問題なく過ごせており、不安が無くなったと書かれていました。症状に関しては何よりですが、筋力の復活を待ちたいと思います。
じゅこうさん 木下広志