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加持祈祷と伝統医療

この絵は病気になった師の身代わりになろうとした僧侶と、それを助けた不動明王の物語。僧侶の元へやってきた病魔に安倍晴明が身代わりの祈祷をおこなっているところです。病気の基である悪い精霊たちが、神妙に祈祷に聞き入っています。
(泣不動縁起 第一巻 15世紀 奈良国立博物館)

じゅこうさんへ、巻き爪の矯正にいらしている70代の新見在住の男性がおられます。私は全く知らない方で、じゅこうさんでは施術していないのですが、寿晃整骨院には腰の施術でもかかっておられたそうで、結局、症状が強く病院へ紹介させていただいた方だそうです。

巻き爪の施術に来られた日にこの方と腰について話をしました。すると病院で手術することが決まったが、ある方が祈祷に来てくれることになった。一度祈祷してもらったら少し楽になった。明日、2度目の祈祷を受けるということでした。

私は大阪大学の上野彩さんによる沖縄の石垣島におけるユタという祈祷師と医師との距離感についての研究に興味を持ち、修士論文の先行研究の一つとしてそのことを書かせてもらいました。

https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/67878/ahs39_015.pdf

今回はこの男性が新見の自宅で祈祷を受けることを知り、その見学をさせてもらえないかと願いしました。それに快諾していただいたので新見まで智子先生とその方の自宅へ見学に行きました。

そこには見た感じ、全く普通の男性が座っておられました。そして世間話をした後、祈祷が始まりました。その部屋にはその患者さんのご先祖の写真も壁に貼ってあり、祈祷師の男性は亡くなった方の気持ちが分かるようなことも言っておられました。

そして、その男性の身体に触れることなく祈祷が始まりました。時おり「エイッ」という掛け声と、なにやら呪文のような祝詞のような言葉を早口で発しておられました。どんな対象にどんなことをしているのか全く分かりませんが、15分ほどの祈祷が目の前で行われました。その方は祈祷で報酬を得ることはしていないとのことで、お礼などの受け取りや、私が持っていったお土産を受け取ることもありませんでした。

そして、祈祷の結果ですが、少し腰が楽になった気がするとのことでした。YouTubeにあるように歩けなかった人が急に歩けるようになることもありませんでしたし、本人が楽になったのなら良かったという感じでした。その後、結局手術することになり、その後はお会いできていないのですが、また巻き爪の施術で来院されたときに、お話を聞いてみます。

じゅこうさん 木下広志

↓ 新見の黒い三連星水車