タイの仏教は、上座部仏教(小乗仏教)ともいわれ、日本の仏教は大乗仏教といわれます。高校世界史で習った方もおられると思いますが、出家して自分自身の解脱(悟り)をめざすのが上座部仏教でスリランカ→東南アジアへ伝わり、すべての人々の救済を目指すのが大乗仏教でチベット→中国→日本へ伝わったと言われています。
世界歴史マップよりhttps://sekainorekisi.com/world_history/%E4%BB%8F%E6%95%99%E3%81%AE%E6%96%B0%E5%B1%95%E9%96%8B/)
仏教の起源は、今から二千五百年前、インドのブッダガーヤという場所に「釈迦」を開祖として興りました。お釈迦様は人間がいろいろな悲しみや苦しみを持っている人たちを見て精神的な修行をし、その解決方法を見出だしたことによる宗教です。
この苦しみを四苦八苦、解決したことを「悟りを開いた」という言い方をしています。私は超能力にあこがれていて、悟りを開くことができればきっととんでもない力が身につくと考えて10代のころから仏教の本を読んでいました。変な少年時代を過ごしていたようです。タイの人たちは信仰深く、寺院に行って祈り、モンク(MONK)といわれる僧にお金やお米などを寄進しているのを見ました。
そのお金が集まり立派な寺院の建物や金色に輝く仏像を作っているということなのでしょう。また、タイの人は無料なのですが、ツーリストはお寺ごとに200バーツほどの入場料が必要です。一番高額の入場料はエメラルド寺院といわれるワットプラケオで500バーツでした。円安の影響もあって日本円で2000円ほどなのでかなり高額です。
まず、一番目に訪問したワットポー寺院には、金色の涅槃仏(釈迦が亡くなる際の様子をあらわした仏像)があり、大きさも全長46m、高さ15mと巨大なもので、足裏には仏教の世界観を現した真珠で飾られた108の図が、美しい螺鈿(らでん)細工で刻まれているそうです。私はこのワットポーに付属するマッサージ学校に行ったのですが、どうしても時間が取れなくて境内にはこの涅槃仏を見ることができませんでした。
2番目はワットアルン寺院です。三島由紀夫氏の「豊饒の海 第三巻 暁の寺」の小説に出てくることは前回のブログで書きましたが、このお寺には見事な仏塔がそびえたち、迫力がある建物を見ることができました。非常に高い仏塔も周りはタイルによる装飾で飾られ、あの高い壁をどうやって作ったのか。信仰の力は偉大だと感じました。
ここで私の宗教への考え方について一応お伝えしておこうと思います。結論から言うと神はエネルギーの流れだと考えています。太陽の光や風力のように目に見えるエネルギーもありますし、電力のように数値化できるものもあります。東洋医学でいうところの気の流れや心の動きも神の存在を感じさせます。よく運が良いとか悪いとか言いますが、これはエネルギーである神の流れに逆行しているか、その流れに乗って行動しているかの差だと考えています。私はここまで神様の流れになるべく沿うように、そして悪いことが起こったらそれは神様の流れに逆らってしまったからだと単純に考えるようにしています。
太陽のエネルギー https://weathernews.jp/smart/star/aurora/mechanism.html
今回のお寺観光に同行してくださった私の大学院の指導教員は、敬虔な浄土真宗の信徒だそうで(そうは見えないのですが…)、私がお寺にお参りしていても、祈りもしない、お供えもしないので、「何やってんですか?」と聞かれました。私は、「信仰をしている人がどんなことを考え、どんな作法でお祈りをしているかに興味があるんです。神様と私の関係は20代で解決済みです」と答えました。なので、私が特定の宗教に勧誘することはありませんのでご安心ください。
さて、3番目のお寺がワットプラケオです。このお寺はタイ国王の王宮の中にあります。タイの仏像の中で一番大切といわれるエメラルド仏(本当はヒスイだそうです)が祀られています。ひときわ高い建物の室内にそびえたつ高い階段の先に高さ66センチの緑色の仏様が鎮座しておられました。年に3回国王によって衣替えが行われるそうです。この仏様はインドで作られ、スリランカに行き、カンボジア、アユタヤ、ラオスと転々とした後、タイのワットプラケオに安置されています。
仏様や僧侶を大切にするタイの人たちは、来世のために徳を積むことを重要視するそうです。だからこそ笑顔で観光客を迎えてくれ、犯罪などが少ないのでしょうか。オレンジ色の衣装をまとった僧侶は基本的に出家をしていますが、1週間から3か月ほどで俗世に戻るそうです。僧侶になるとその時点から女性に触れることが禁じられるそうです。自分自身の悟りを目指す上座部仏教も魅力に感じますね。そんな短い期間の出家ができて元の生活に戻れるなら、次の旅では出家してみようかな。
じゅこうさん 鍼灸師 木下広志